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【茶道 裏千家】お茶室建築のための基本的なお茶の作法について【まとめ】

2024.08.18

 

お茶室の計画のご相談に伴い、まずはお茶室計画の前提となるお茶会の作法や思想についてまとめてみました。

 

今回は裏千家の茶道における一連の作法を、お茶会の一般的な順序の通り関連する事項も含めて記載していきます。

茶会の準備から始まり、客人の迎え方、茶の点て方、道具の取り扱い、そしてお茶事の終了までの流れをまとめていきます。

特に、道具の扱いや各動作の意味、心構えなども細かく解説します。

 

建築計画ではなくお茶室建築・計画の前提の茶の湯そのものの部分となりますので、是非参考にされてください。

 

目次

  1. 茶道の基本概念
    • 1.1 茶道の精神
    • 1.2 亭主としての心構え
  2. 茶会の準備
    • 2.1 茶室の整え方
    • 2.2 茶道具の選定と準備
    • 2.3 茶会のテーマと設計
  3. 客人の迎え方
    • 3.1 客人の到着
    • 3.2 茶室への案内
    • 3.3 茶室への入室
  4. 懐石と炭点前
    • 4.1 懐石料理の進行
    • 4.2 炭点前(すみでまえ)
  5. 濃茶の点前
    • 5.1 濃茶の準備
    • 5.2 濃茶の点て方
    • 5.3 濃茶の提供
    • 5.4 濃茶のいただき方
  6. 薄茶の点前
    • 6.1 薄茶の準備
    • 6.2 薄茶の点て方
    • 6.3 薄茶の提供
    • 6.4 薄茶のいただき方
  7. 茶事の終了と後片付け
    • 7.1 茶事の終了
    • 7.2 後片付け
    • 7.3 客人の見送り
    • 7.4 茶室の整頓
  8. まとめ

 

茶道の基本概念

1. 茶道の精神

  • 茶道の根幹は「和敬清寂(わけいせいじゃく)」という四つの徳目にあります。
    • 和(わ): 調和を大切にし、他者との関係を尊重します。茶室内のすべてが一体となって、心地よい雰囲気を作り出すことが重要です。
    • 敬(けい): 敬意を払うことです。亭主は客人に対して、客人は亭主に対してお互いに敬意を持ちます。これは道具や自然にも当てはまります。
    • 清(せい): 清潔であることを意味します。身体だけでなく、心も清らかに保ち、すべての行動が純粋であることを目指します。
    • 寂(じゃく): 平静な心を持ち、外部の喧騒から離れた静寂の中で心を落ち着けます。これは内面的な成熟と深い精神的な平和を象徴しています。

2. 亭主としての心構え

  • 亭主は茶道具や茶室、そして客人一人ひとりに心を配り、心地よい空間を提供する役割を担います。客人が心地よく過ごせるよう、細かい気配りと柔軟な対応が求められます。また、心を込めて茶を点てることが何よりも重要です。

茶会の準備

1. 茶室の整え方

  • 掃除と整頓: 茶室は徹底的に清掃し、乱れがないように整えます。特に、床の間や茶道具が置かれる場所は清潔でなければなりません。塵一つ見逃さない心がけが必要です。
  • 花と掛け軸: 茶室の床の間に掛け軸を掛け、季節の花を生けます。掛け軸はその日のテーマや趣旨を表現するものであり、花は季節感を大切にします。例えば、秋なら紅葉、春なら桜といった具合です。

2. 茶道具の選定と準備

  • 茶碗: 茶碗はその日の天候や季節、テーマに合ったものを選びます。夏なら涼しげなガラス製、冬なら厚手の陶器など、季節に応じて変えます。
  • 茶筅: 茶筅は点てやすさが重要です。初めて使う茶筅は、事前にしっかり水で戻し、しなやかさを出しておきます。
  • 茶杓: 茶杓も選び方が重要です。竹製の茶杓が一般的ですが、特別な茶会では象牙や漆塗りのものを使用することもあります。茶杓は、個性が表れる道具の一つです。
  • 棗(なつめ): 抹茶を入れる棗は、朱塗りや黒塗りなどがあります。中の抹茶が湿気ないように、蓋をしっかり閉めておくことが重要です。
  • 建水(けんすい): お湯を捨てるための器で、茶筅を洗ったり、不要な水を捨てる際に使用します。使用後は常に清潔に保つことが求められます。
  • 釜と風炉(ふろ): 釜でお湯を沸かすため、火の扱いには細心の注意が必要です。風炉は季節によって使用する時期が決まっており、夏は風炉、冬は炉を使います。夏に使う風炉は持ち運びできる炉のイメージです。暑い夏に客人から炭を遠ざける心づかいのために用います。

3. 茶会のテーマと設計

  • テーマの設定: 茶会にはテーマがあります。例えば、初秋の茶会なら「秋の気配を感じる一碗」などのテーマを設定します。テーマに基づいて掛け軸や茶道具、菓子の種類を選定します。
  • 席順と人数: 席の配置や人数も事前に決めておきます。客人の経験や身分、年齢に応じて、適切な席順を設定します。主賓は通常、最も亭主に近い位置に座ります。

客人の迎え方

1. 客人の到着

  • 玄関での迎え方: 亭主は客人が到着する少し前に茶室に入り、準備を整えます。客人が到着したことを知ったら、玄関に出て丁寧に挨拶をします。「ようこそお越しくださいました。本日はお招きいただきありがとうございます」と言葉を添えます。
  • 草履の扱い: 客人が草履を脱ぐ際、亭主は丁寧に見守り、必要に応じてサポートします。草履を揃える際は、相手の立場を考慮し、自然な形で行います。

2. 茶室への案内

  • 茶室への誘導: 客人が草履を脱ぎ終わったら、茶室へ案内します。道中ではゆっくりと歩き、客人が景色を楽しめるようにします。途中に露地(ろじ)がある場合は、その風情を楽しむよう誘導します。
  • 露地の心得: 露地は茶室に向かう道であり、その清浄さが求められます。雨が降った場合は、傘を使い、客人の足元が濡れないように配慮します。露地には石灯籠や飛び石があり、茶室への期待を高めます。

3. 茶室への入室

  • にじり口の使い方: 茶室には低い入口であるにじり口があります。客人は腰を低くして、頭を下げて慎重に茶室に入ります。この行為は謙虚さを象徴しており、身分を超えた平等の精神を示しています。
  • 初座の挨拶: 茶室に入ったら、客人は正座し、静かに一礼します。亭主も同様に正座し、静かに挨拶を交わします。ここでの言葉は少なく、「どうぞおくつろぎください」といった一言で十分です。

懐石と炭点前

1. 懐石料理の進行

  • 食事の順序: 茶道の懐石料理は、季節の食材を使った軽食であり、酒、汁物、煮物、焼き物、飯、香の物(漬物)などが提供されます。順序を守り、各皿を丁寧に配膳します。
  • 料理の説明: 各料理の由来や材料について簡単に説明します。これは客人とのコミュニケーションを深め、茶会の雰囲気を高めるためです。
  • 御飯と汁物: 主膳として御飯と汁物が提供されます。御飯は一汁三菜が基本であり、出汁の香りや味わいが引き立つように工夫されます。

2. 炭点前(すみでまえ)

  • 炭の配置: 炭点前は、お湯を沸かすための炭を配置する儀式です。炭は風炉の中に適切な位置に配置し、火力が均等に保たれるように調整します。
  • 火打石の使用: 火をつける際には火打石を使います。これは浄化の儀式でもあり、悪霊や不浄を払いのける意味があります。
  • 香の焚き方: 炭が安定したら、香を焚いて部屋を浄化します。香の香りは茶室全体に広がり、心地よい空間を作り出します。香の選定にも心を配り、季節や客人の好みに合わせます。

濃茶の点前

1. 濃茶の準備

  • 濃茶の選定: 濃茶は、茶会の中心となるお茶であり、高品質の抹茶が使われます。濃茶用の抹茶は、薄茶よりも深い味わいで、濃厚な香りが特徴です。
  • 茶碗の準備: 濃茶用の茶碗は、大きめで深いものが一般的です。これにより、濃茶の濃厚な味わいをしっかりと楽しむことができます。茶碗は事前に温めておくと、茶の味がさらに引き立ちます。

2. 濃茶の点て方

  • 抹茶の量: 濃茶には、茶杓で3杯以上の抹茶を入れます。これは薄茶の倍以上の量であり、濃厚な味わいが楽しめます。
  • お湯の注ぎ方: 茶碗に少量のお湯を注ぎ、茶筅でゆっくりと混ぜます。ここでの動作は慎重に行い、抹茶が完全に溶けるまで丁寧に混ぜます。
  • 茶筅の使い方: 濃茶を点てる際は、茶筅をゆっくりと回すようにして、粘り気のある濃厚な茶を作ります。茶筅の動きは、抹茶の滑らかさを保つために一定のリズムで行います。

3. 濃茶の提供

  • 茶碗の拭き方: 濃茶を点て終わったら、茶碗の縁を丁寧に拭きます。これにより、茶碗が清潔で、飲む際の心地よい感触につながります。
  • 茶碗の差し出し方: 茶碗を両手で持ち、正面を避けて客人に差し出します。濃茶は特に重要な儀式であるため、丁寧な所作が求められます。

4. 濃茶のいただき方

  • 正面を避ける: 客人は茶碗を受け取った後、正面を避けて茶碗を回します。これは敬意を示す行為であり、茶碗の美しさを尊重する意味も含まれています。
  • ゆっくりと飲む: 濃茶は少しずつ、ゆっくりと飲みます。口に含む際は、茶の香りと味わいを楽しみながら、少しずつ味わいます。
  • 茶碗を鑑賞する: 飲み終わった後、茶碗の模様や形を鑑賞します。

薄茶の点前

1. 薄茶の準備

  • 薄茶の選定: 薄茶は、濃茶よりも軽やかな味わいが特徴で、広く親しまれています。薄茶用の抹茶は、風味が柔らかく、口当たりが良いものが選ばれます。
  • 茶碗の準備: 薄茶用の茶碗は、濃茶用に比べてやや浅めで広がりのある形状が一般的です。これにより、茶筅を使って抹茶を泡立てやすくなります。

2. 薄茶の点て方

  • 抹茶の量: 薄茶には茶杓で約1.5g、2杯分程度の抹茶を入れます。これにより、軽やかでさっぱりとした味わいが得られます。
  • お湯の注ぎ方: 茶碗にお湯を注ぎ、茶筅で軽やかに点てます。薄茶の場合、茶筅の動きを早めにし、細かい泡が立つようにします。
  • 茶筅の動かし方: 茶筅をW字型に素早く動かし、抹茶とお湯を均等に混ぜます。最後に茶筅を軽く持ち上げ、細かい泡を表面に作ります。

3. 薄茶の提供

  • 茶碗の整え方: 茶が点て終わったら、茶碗の縁を清潔に拭き、見た目を整えます。客人が茶をいただく際に、心地よく感じられるように心がけます。
  • 茶碗の差し出し方: 茶碗を両手で持ち、客人に丁寧に差し出します。茶碗の正面を避けることで、客人が正面を意識せずに茶を楽しむことができます。

4. 薄茶のいただき方

  • 茶碗の持ち方: 客人は茶碗を両手で持ち、茶碗の正面を避けて回し、一口ずつゆっくりといただきます。薄茶は軽やかなため、さっぱりとした味わいを楽しみます。
  • 茶碗の返し方: 茶を飲み終わった後、茶碗の縁を拭き、元の位置に戻します。

茶事の終了と後片付け

1. 茶事の終了

  • 感謝の挨拶: すべての茶事が終わった後、亭主は客人に感謝の意を表します。「本日はお越しいただき、誠にありがとうございました。お楽しみいただけたでしょうか」と丁寧に言葉をかけます。
  • 名残の茶: 名残の茶として、最後にもう一碗お茶を提供することがあります。これは、茶会の余韻を楽しむための儀式です。

2. 後片付け

  • 道具の片付け: 使い終わった茶道具を一つずつ丁寧に片付けます。茶碗は温水で洗い、茶筅はしっかりと水気を切って保管します。棗は抹茶が湿気らないようにしっかりと蓋を閉めます。
  • 帛紗の清め方: 帛紗も茶事が終わった後は清めておきます。布の折り方や保管場所にも気を配り、次回に備えます。

3. 客人の見送り

  • 茶室からの退室: 客人が退室する際、亭主は丁寧に見送ります。にじり口で頭を下げて、茶室を出る客人に感謝の意を示します。
  • 玄関での見送り: 玄関まで客人を見送り、草履を揃えたり、戸を開けたりといった細かい気配りを行います。最後に「どうぞお元気で。またのお越しをお待ちしております」と言葉を添えます。

4. 茶室の整頓

  • 茶室の掃除: 茶会が終わったら、茶室の掃除を行います。道具を片付け、床を清掃し、掛け軸や花の配置を元に戻します。茶室を常に清潔に保つことが、次回の茶会に向けた準備となります。

まとめ

茶道の裏千家における作法は、単なる形式に留まらず、深い精神性と日本文化の粋を反映しています。亭主としての役割は、客人に対する心遣いと共に、茶室という限られた空間で最大限の調和と静寂を提供することにあります。細かな動作一つ一つが、すべて意味を持ち、その意味を理解することで、茶道の本質に近づくことができます。

これが茶道の奥深さであり、修練を重ねることで、より豊かな体験が得られていくことでしょう。

 

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